第4章契約と積算

オープンシステムでの作業を進める上で、業者との契約折衝ほどいやな仕事はない。

すんなりと見積もり通りに契約できれば、専門工事業者と丁々発止とやり合うこともなく、上げたり下げたり、時には頭を下げたり誠に神経をすり減らす仕事である。しかしなかなかそうはいかない。ここでの仕事も経験がものをいう仕事である。いわゆるKKDである。しかし、もっと論理的、合理的に折衝をすることができないであろうか。ゼネコンや工務店では工事実行予算を作成しその予算に則って発注業務を行い、利益がいくらでるか、赤字はどのくらいで収まるか、把握するシステムになっている。オープンシステムでの発注業務も同じ方法を採ればいいのではないか。

予算書を作るのである。そしてその予算書に即して発注業務を行うのである。そうすれば、例えば基礎工事で見積もり業者の最低金額でも20万円予算よりオーバーしているが、木工事で25万円低いので差し引き5万円残というように楽に折衝できると思う。しかしこれを行うには、正確な予算を組む必要がある。予算が正確でなければ、専門工事業者の出してきたものが正しいかどうか把握できないし、原価の把握もできない。では正確な予算を作るにはどうしたらよいか。まずは正確な数量を把握することである。自分で積算し数量を把握することがまず第一である。木材の数量、柱、梁、間柱、の数迄積算し、単価を掛ければ金額がでてくる。その積み重ねが予算である。ここで積算について少し述べたいと思う。建築の積算業務は昭和50年ころまでは確立した基準が無く、それぞれ独自の積算を行っていて、どうしてもどんぶり勘定的なものになっていた。昭和52年に建築積算研究会が「建築数量積算基準」を発表してようやく積算の基準として一本化され今日に至っている。その間積算士という民間資格ではあるが、積算基準に則った積算方法で数量を出し誰が拾っても誤差の範囲の中で同じ数量になるような積算ができる資格を持つ技術者の要請に官民上げて取り組むようになった。現在の公共工事などの積算もその資格を持ったものが行うようになった。では積算基準なるものがどのようなものか、積算基準の冒頭に書かれてある部分を紹介すると

  1. 積算する人により異なることの多い細目の数量の計測・計算について、誰が積算してもその数量の差が許容範囲を超えない計測・計算法を創出する。
  2. 計測・計算の見落とし、重複の防止に役立つ積算方法を工夫する。
  3. 積算の能率向上に役立つ積算方法を工夫する。
  4. 「数量基準」はここの規定を系統的に整理し、簡潔で理解しやすいものとする。

このように積算数量を一定の基準の基に計測・計算して誰が積算しても同じ数量になるような基準を設けたものである。これに基づいて積算すれば正確な数量が把握できるわけである。正確な数量が把握できれば、後は単価を掛けるだけで正確な予算が出来上がるわけである。この予算書を基に専門工事業者の見積と比較をしながら、折衝すると自ずと折衝する言葉の端々に説得力ができかなり有利に展開するはずである。データーこそ最大の武器である。そして予算書を作ることによって追加変更に対する施主との折衝もスムーズに行くはずである。